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最適とは その3Optimization



「カオス」というふるまい


々回、「巡回セールスマン問題」という、解法の明確な単純計算でさえ、要素の増大によって永遠の計算時間が必要になることでお手上げになるという例に触れました。そして前回、加工現場を例に取り、ありえそうな要素と調整箇所をざっと挙げて、その中での「最適」を見つけだすのも、やはりすぐに組み合わせが膨大になって、いずれにせよ時間的に不可能になることにも触れました。

まぁもう十分ですという気分ではありますが、じつは「最適への道」を求道するわたしたちをもっとお手上げにさせてしまうのは、現実の身の回りでは、そもそもこういった想定すら成り立たない複雑さに満ちていることがめずらしくないことです。といっても、登場品目は「鉄の玉」「薄い紙」だけの、とても複雑とはいえない例なのですが。



、手元から小さい鋼球を取り出して、足元に置いた「標的」を狙って それを落としたとします。おそらく、結構正確に当たるでしょうし、それを何回やってもほぼ満足いく成績となるでしょう。一方、今度は鋼球にかえて、薄い紙をまるめずに小さく切った状態で同じことをやったとします。室内で無風の状態であっても、ほぼ狙いどおりにならないことと、毎回かなりちがう結果になることは経験上、だれでも容易に予測が可能です。これは、空気に対する質量の違いと、硬さの違いから来るもので、もちろん紙はその軽さとしなやかさのために、空気抵抗に大きく影響されるためです。現代においても、手元からはなれた紙がどのように変形するかの予測は、いかなるスーパーコンピュータでもできないようですし、ましてや、その変形によるあたらな空気抵抗がどうなるかもわからず、それがさらにどうような変形となるかも、もちろん「推して知るべし」で、予測が可能なのは、とんでもなく遠いところへ行ったりはしないこと、そしてまちがいなく床に落ちること、ぐらいと言われているようです。この実験における紙のように、「空気」という「外乱」の影響をうけやすい状態を、どうやら専門的には「カオス(混沌)的に振舞う」というようです。



するに、鋼球は「予測可能な振る舞い」を、薄い紙は「予測のつかない、カオス的な振る舞い」をする、ということができるのだと思います。この例の紙のように分かりやすいものはむしろ稀で、程度の差はあるにせよ、例えば加工に影響を与える要素に、カオス的振る舞いをするものが含まれていないということが言い切れないという状況であったならば、それは実に悩ましいものがあります。



先の「巡回セールスマン問題」では、各拠点の移動距離だけを考えればよく、ロードコンディションは一定という前提でした。しかし、それでさえいとも容易に計算不能に陥る状況でありながら、さらに「時には工事中であったり、通行止めになったり、速度規制があったり、あたらなルートができたり閉鎖されたり・・・その影響でさらに何かが変わったり」などこちらでは予測のつかない状況が加わるようなものでしょうか。

「計算時間が永遠に必要なほど、絶望的な数の組み合わせに満ちている」「カオスに支配されるものの振る舞いは関数化すらできない」。これらは「数学的解法」による「真の最適」へのアプローチが不可能であることを最適に・・・、いや十分に示しています。もはや「最適」という単語は口走ってはいけない気分になってきました(次回 その4へ)






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