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エクストリーム株式会社
最適とは
Optimization
無双の決着
2017/03/16
イスの研磨屋さんのコメントに、機械がまったく同じであるという条件があったことに気が付かれたかもしれません。ご想像のとおり、外乱の影響を最少とすること、つまり「カオス的な振る舞い」の影響を避け「予測可能な振る舞い」となる環境を可能な限り整える、この場合は彼等なりの高い基準をクリアした同一モデルで揃えることで、彼等なりの「最適(近辺)」へのアプローチに極力ノイズが入らないようにしていると言えます。つまり「最適(近辺)への道」にとっての「精度の高い機械」の利点は、「最も予想可能な振る舞いをする」というただその一点に尽きるのかもしれません。所定の位置に正確に止まる、蛇行せずにまっすぐすすむ、つまりは狙った的にあたる、ようやくこのあたりのお話になると、弊社にとっては本業ですからさっそくプレゼンテーションを・・・というのはまたもや予定調和すぎますのでこの場は遠慮しておきます。
ちろん、研磨屋さんの例とて「最適への道」の模範解答ではありません。彼等は独自の方法でいわば、「山脈をなす、とあるひとつの山」を登ろうとしているにすぎず、結果として高い評価を勝ち得ているだけという見方がむしろ自然です。どうやらその山は周りと比べて結構な高さのようで、ゆえにさすがと見上げられているようなものかもしれません。おそらくはその山よりも高い山があると考えるほうが間違いなさそうですが、しかしそれはどこからも確認できるものではなく、はたしてそれはどのへんにあるか、いやそれは存在するのかさえ定かではないでしょう。どことなく収穫が減ってきたなぁとなれば、他のもっとあるかないかわからない高い山を目指し一旦下山し今までのやり方ではない他の手段によるアプローチを試みるべきなのかも
しれませんし、その従来のアプローチをたゆみなくひたすら続けることが、 一粒づつ砂を落とし続けてできた砂山が、ある一粒をきっかけに前触れなくおおきく崩れ始めるように、その継続こそが突然のブレークスルーにとって必要な前提であるのかもしれません。この最後の砂粒が、いつの時点で砂山を崩すかについても、やはり予想が不可能で、先の「カオス的振る舞い」の代表と言われているようです。
械加工という分野、科学的なアプローチで詰められるイメージが強いものの、こと「最適」を狙った瞬間に、数理的アプローチでは、無限の組み合わせという現実しかないことを思い知らされます。手っ取り早く先人の過去の実績を反映した教科書・手引書に従うという選択ももちろん可能ではありますが、その組み合わせの膨大さを痛感してみれば、やはりこれとて先人が「ひとつの山」を、とあるアプローチでそれなりにやってみましたという実例に過ぎません。
しかしひるがえってみれば、無限のアプローチという自由度をどうとらえるか、それはこうするものだという鉄則が幅を利かせない、つまりは勝ちパターンというものがない、独創性の発揮しがいのある領域、つまりクリエーティブな領域であるとも言えます。またもやビッグワードの登場ですが、この「戦略的な変数」の多さが、機械加工を生業とする会社が無数に存在しうる機械加工業界の構造的理由とも言えそうですし、であるならばもっとこの自由度を積極的にとらえ、スイスの研磨屋さんの例が示すようにキモになる「戦略変数」をより独創的なものにする、という自覚がもっともっと蔓延してもよいのではという気がします。
社の顧客に、いかなる高精度の機械であっても現時点ではとうてい達成のむずかしい超高精度領域を、手加工で達成するマイスターがいらっしゃいます。いわゆるラップ師です。あるときその名人に「最適への道」への極意をたずねてみました。
「道具(磨き粉)を自分でつくれるかどうか・・それだけですよ。」
「そうはいっても、その検索範囲はいわゆる工業製品の範疇には収まりません。休憩室にいれば、コーヒーかす、お茶葉、台所にいれば味噌、醤油、海岸を散歩すれば貝殻やサンゴのかけらをさがす。それを母材に影響がないかぎりにおいてラップの磨き粉にまぜてみる。理由はなく、あっこれはよさそうかなという勘です。いろいろ試す。何十年もありとあらゆるものを試してきました。そのなかでこれかなというものを見出す。その模索はいまだにつづけています。技能の継承を体系的にどうにかできないか、という社内の要求がありますが、どうにもロジカルにまとめることはできません。なぜなら、これはどうみてもロジカルなアプローチではないからです。」
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