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最適とは その2Optimization









けっきょく無限



はここで、機械加工現場を例にとって、「最適」な加工を行うケースを考えてみます。砥石の構成要素は、砥粒の種類、粒度、結合度、ボンドの4要素に限定し、その他砥石以外の要素で6種類、計10種類の要素に各々、調整がたった2箇所(つまり2パターン)だけできるとし、なんらかのワークの要求達成に、「最適」な加工を行うものとします。ただし、そのワークの要求達成にまったく貢献しそうもない要素は10種類および2箇所の調整範囲から除外されているとします。それであれば、少なくとも「その範囲での最適」な加工条件が容易に得られそうです。砥石だけに集中的に要素を増やしたのは、着手が比較的容易であり、ここを基点に加工検討をスタートすることがありそうだからで、特に意味はありません。別にどのような要素であってもかまいません。たとえば砥粒の「種類」の調整ならば、(双方比較してどちらかが)硬い・やわらかいという荒っぽいくくりがたった2つだけ、これを2箇所(2パターン)の調整と考える、総じてゆるい、いいかげんなタスクという気さえします。何はともあれこのあたりから「最適への道 ビギナーコース」開始です。



ころが計算開始早々、10の要素を2段階調整なので、2の10乗で 1,024パターンの比較・・・容易というよりむしろ激務というか、できないのでは・・・、中級者コースでさらに調整が3箇所になりますと、砥粒の種類ならば硬い・ふつう・やわらかい、という、まだまだラフなくくりでしかないものの、3の10乗で59,049パターンあることになります。


こういったストレスを感じる現実を突きつけられますと、次第に「そもそも総当りの組み合わせで比較する必要がある?頭使って要領よくやりましょうよ!」と疑問ついでに文句や怒りすらわいてきますし、この計算自体、電卓と数式を振り回した、皮肉なヒマ人の意地悪のように思えてきます。また、「早見表などを頼ればいいじゃないか」という具体的でもっともな意見もでてきます。ですが、たとえば砥粒単体で存在する場合の個性をつかむのであればそれでよさそうですが、単体の個性は、他と組み合わさることで、頼んでもいないのに、強弱の程度、ネガティブ・ポジティブという方向性の差があるにせよ、「シナジー効果」と呼ばれていますが、勝手にその組み合わせならではあたらしい個性を発揮しだしてしまいます。したがって厳密に、本当に、真の「最適」を追求すれば、利用可能なすべての組み合わせを比較する以外方法はありません。少なくとも、「精密加工」を標榜する会社にとっては、常に誰よりも「最適」であろうとするはずですので、こうするより他に、「これが最適」という立証の手立てがありません。

むろんと言うべきか、まだ言いますかとお叱りを受けるかは別として、ご存知のとおり現実には3箇所の調整にととどまず、もっともっと細かくグレード設定があり、さらに構成要素は10種類以上にはなりそうです。もっと多くの要素、例えば14要素に10箇所の調整を施すとなると、どうなるでしょうか。各社の経営資源に差があったとしても、このぐらいの想定は各社共通に当てはまりそうです。



し、ここはひとつ専門タスクフォースを組み急ぎ足で、強引に1パターンに10分だけのテスト時間を与えて、5分の段取りで、5分の加工、という超人スケジュールでやってやる・・・「最適への道 マスターコース」。。。こうなると、さすがにけっこう「最適」を見つける可能性がありそうでしょうか?24時間連続、休憩・休暇なしでひたすらやりますという、おそるべき情熱をもってしても、ざっと20億年ほどの時間が必要となるようです。
もはや「お、おぅ・・・」とつぶやく気力さえなくなりますし「無段調整(インバータ)」などという機能は、笑えないジョークではないかと思えてきます。

   




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