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コラム:ミクロの決死圏For a few microns more


第12回:蛍の光


禁煙後進国」とさえ言われ、ヨーロッパ内での喫煙率が高く、また比較的どこでも自由にそれを楽しむことが出来たスイス。世界の大手たばこメーカーのヨーロッパ本社のほとんどがスイスにあったこと、そのロビー活動のせいなのか煙草への課税率が低く近隣諸国よりも割安感があったこと、そして自治体ごとの自治権が強く国家としての法規制がやりにくいことなどが喫煙率の高さと分煙率の低さの理由などと分析されているようですが、舌が火傷するぐらいに、しっかりと葉っぱをすべて煙にするまで吸い込み、吸殻はスポンジフィルターだけにしないと「Hey, Rich man!」と叱られるように、「最後の一服まで」をひとつの美学とするような、独特の愛煙精神?と呼べるものが存在するのかもしれません。

かしながら、世界的なスタンダードとなった分煙の気運には抗しきれず、国民投票をもって公共性の高い場所での禁煙がようやく数年前に決まるなど、独立独歩の「永世中立国」も、いつまでも同じではいられないようです。

方、70年以上の歴史を持ち、機械加工がデジタル時代とは全く無縁であった時代から、今日現在に至るまで、腕に覚えのある技能者から愛でられたケレンベルガー製手動式の万能円筒研削盤Universal。その佇まいは、多くの同業メーカーがデジタル時代への完全対応から同様の手動機をとっくに廃盤として久しい現在において、硬派ムードのいかめしさと同時に、幼い子どもがたわむれに描くメカマンガのような親しみをも感じさせ、そのクラシックデザインは時代をあまりにも乗り越えたがためにもはや新鮮とさえ映ります。そしていつでも、時代時代において常に第一級の品質を提供してきました。

かしながら、この度、同モデルの「最後の一台」が出荷となり、これをもって正式に生産終了(廃盤)となりました。されど、その超一級の能力はこれからもユーザーの競争力を支え続け、むろんメーカーの技術サポートも続きます。
どうか、”最後のその時”までご愛用ください。



第11回:質量


極のまさかの時に備えて、国民全員を避難させることが可能なほど十分すぎる”核シェルター”の数と収容能力があるスイス。家庭を始めとする建物ごとの設置義務付けなど、その徹底振りは有名ですが、その結集とも言えるのが「ゾンネンベルクトンネル」シェルター。ハイウェイの2本のトンネルの横を貫いて8階構造とした地下要塞となっており、7000人を収容可能で、手術が可能な病院やラジオ放送局などのインフラを完備。設計段階では郵便局というアイデアまで検討され、シェルター外界への集配は誰が行うか、そもそもその状況で外界との通信に意味があるのかという疑問の前に企画倒れになったようですが、完璧な社会を再現すべく生活のあらゆる場面が想定されました。また、特に念入りだったのは核爆発の強烈な爆風に耐えられるよう作られたドア。化学兵器からの防御までもが想定され、その厚さは1.5メートル、重さはなんと350トンもありました。

じスイスのクマー社ハードターニングK250。焼入れ鋼の超精密旋削という特殊状況を想定し、手のひら大の加工範囲に対して、筐体は7トンというあえて十分な質量を与えられ、振動などの外乱要素からの防御はもとより、リニアモータで駆動される主軸ユニットの質量0.2トンとの対照によって共振を徹底的に排除する設計となっています。

て、前述のゾンネンベルクシェルターですが、「アリ作戦」と呼ばれた実際の収容軍事シミュレーションで、その350トンの重いドアを人力ではなかなか閉めることができないことに加えて、刻一刻とせまるミサイルの到着時間までに、ドアに人々が殺到するであろう危機的状況下で「どのタイミングで・誰がそのドアを閉める決断をするか」という想定しえなかった重いテーマが突きつけられてしまいます。しかし「維持修繕費用が莫大」「冷戦時の遺産は不要」といった現実的な政治経済事情により、ゾンネンベルクシェルターはほどなく実質的に閉鎖となり、その重すぎたテーマの結論は先送りにできた(?)ようです。



第10回: 前線


物ロックスターを数多く輩出するイギリスにあって、1960年代から現在まで現役第一線で、不動の地位を維持するアーティストの来日は常に大きなニュースとなります。
彼(等)は、御年70歳を超えてもなお、若々しい引き締まったボディラインでステージを跳ね回り、 往年と変わらぬ”悪童”ぶりを発揮し、ファンを維持し引きつけています。その秘訣は意外にもロックスターのイメージとはそぐわない「健康管理」。ダーティーでルーズな価値観を売りとしながら、王室からナイトの称号が与えられている彼は、来日公演時に(やはり)期待を裏切るかのように皇居でジョギングにはげむ姿で大きな話題となりました。
また、時代時代において、批判を承知で斬新さを取り入れ、決して従来のマニアだけを満足させるような特定のスタイルに固執しなかったこともその理由かもしれません。


じくイギリスで、同様に1960年代から日本に数多くのファンをもつ工作機械メーカー、ジョーンズ&シップマン。現在は値ごろ感のある価格設定と使いやすさのある万能円筒研削盤を主力ラインナップに、その新たな競争力が、ヨーロッパでは名門の進化として再評価されています。タッチパネルによる直感的操作で研削プログラムが完成し、仰々しさとは全く逆の、スマートフォン感覚での運用が可能です。この簡単CNCに加え、2つのハンドルによる手動研削機能は、手動機の代替にはうってつけです。

の”予想を裏切る”老舗名門のコスト・パフォーマンスについてはこちらへどうぞ


   

第9回:第六感


学の進歩により「天気予報」は正確さを増しており、ピンポイントの降雪量さえ掴める時代になっていますが、科学技術先進国スイスでは、たいへんユニークな「天気予想」で有名な人物がいます。
Matin Horatさんは、森に入るとそこに座り込み、体を這い回る「アリ」が、それぞれ1匹ずつどこの国からはるばるスイスまでやって来たかを判断し、来る冬の降雪量を当てるとのこと。それだけ聞くとやや胡散臭い新手のタレントかとも思いきや、れっきとした「スイス観光局」公認の「予報士(預言士?)」で、観光局の純正PRビデオにも登場し、「その預言に従って旅程を組んでみては?」と案内されるほどの人物です。

じくスイスの、ハウザージグ研削盤は、MSSと呼ばれる特殊なセンサーによって、砥石がワークにどれだけ接近しているか、それぞれが接触したのはいつかを瞬時に判断。この特殊な能力によって、加工精度の要ともなる「砥石の寸法管理」を0.5μmレベルで行うことを可能にしています。

て、上述のHoratさん、直感だけに頼るのではなく、アリの移動距離と、動物には元来備わっているという説もある「危険(この場合は厳しい冬)を予知し、それを回避する特殊能力」との相関で、以外に合理的に分析しているところもあるようです。
一方の、ハウザーMSSセンサーの特殊能力についてはこちらへどうぞ

   

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