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ワイ スイス? そのB Why Swiss machine?




2017/06/07

精度加工という、もちろん目指すべき方向としては誰からも同調を得やすくも、現実場面では特殊で限定的であるニーズを、自身の政府の方針に同調することで、対象市場を他国よりも大きな拡がりで捉えられることを利用したとも言えるスイス工作機械ですが、現在においても、このような「ひとつのかたまりでは小さなニーズ」、いわゆるニッチを、「大きな地理的ひろがりで他者よりも大きなかたまりでとらえる」ことにたいへん長けている、というか非常にめざといと言えるでしょう。



ッチという経営戦略は、特に収益性を改善したいとしつつも経営資源に乏しい(日本の)中小企業一般には筆頭に上がるキーワードであり、そのコンセプト自体はなんら革新的でもありませんが、この「ニッチ戦略」の「実行」においては、スイスは絵に描いたような見事さです。

よく知られるように、ドイツ語、フランス語、イタリア語を代表に多岐に渡る公用語に加えて広く英語が使用されており、マルチリンガル人材の容易な確保とヨーロッパの中央に位置するという地理的条件も重なって、他国市場への展開実現可能性においてこれほどの条件が揃う国はないでしょう。「ユーロ圏」などといった単一的な概念が先行して、なかなか誤解を生みやすいとの指摘もあるようですが、いわゆる「EUヨーロッパ市場」という捉え方はあまりにもおおまかで、現実にはドイツやフランス、イタリアなど各々を、個別に分割し、異なる市場と捉えて言語的なバリアもクリアしなければ、効果的なマーケティングの立案と実行は困難であることは事実です。



ッチ市場は、アイデア段階では、ひらめきや個性、ひいては自社の強みを活かせるにちがいないという確信が持てる反面、ビジネスを成立させるだけのボリュームが期待しにくく、技術的には目処が立っても、いざ初期投資の段階で市場のサイズ感、特に国内市場を前提とせざるをえない場合においては特にそのリスクが誇張されてしまって、最終的には二の足を踏んでチャンスを逃しているのではないか?でもしかたない・・といった疑念やもどかしさは、多くの企業が幾度かは経験するところでは?と察します。スイスはこういった「ひらめきはしたものの、悩ましい小さなニーズ」こそ、自身がもつ特有の強み、過去においては永世中立政策による東側諸国への優位的立場、現在においても多言語を公用語とする、豊富な人材によるヨーロッパ市場への優位的アクセスの容易さによって、他国と比較して「より大きなかたまり」でそれを捉えることで、サイズ感において迷うことなく開発投資を行える構造となっていると言えるでしょう。迷うことなく、というのは先行者利益を獲得するうえでもたいへん重要となる条件です。つまり、冒頭その@で設定したNGワードは、すべてこの優位的構造の上にまるで装飾を施すかのようにすまし顔で成り立っているのであり、いわば二重構造の要塞になっていると言えます。



果として、「限定的高精度加工」や「アプリケーションが特定」されているようなニッチ領域においては、「追従者がそろそろ来るだろう」との一般的見通しどおりとはいかず、技術的な腕は確かか、おそらくそれ以上と自覚し自信満々であっても、参入にあたってはいろいろ腹を括らなければならないチャレンジャーは、「まぁ、うちでもその気になりさえすればそういう機械は作れるんですがねぇ・・」といいながらなかなかその気にはなってもらえず、現代にいたっても「あれ、いまでもスイス製?」が幅を利かせることとなります。

 



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