敵でないにせよ、それを導入すればそのユーザーにとって技術的なブレークスルーが引き起こされるので「儲かる」、というストーリーも理屈上は想定が可能です。現実の場面では、いわゆる「いい機械」であることを押し出したいメーカーが、この文脈でつい「儲かる」というコメントをしてしまうことが多いかもしれません。。
記のような想定に従って、そのユーザーにとって多くの点で有効な機械であっても、「儲かるか」はいかんせんそのユーザーとその競争相手、そして市場とのせめぎあいの中で複合的に、お互いの出方がそれぞれに影響しあいながら決定されていきます。それゆえ、それがどのように進行し、結果として損益計算書にどのように出現するのかという想定をしようにも、だれも予想のつかない競争の行方に想いをはせることは手立てにさえとぼしいという現実は誰であれ同様であり、ましてや部外者が見通すことはより不可能です。
始めに目を配るものとして・・・当然ながら機械購入代金はバランスシート上の固定資産の価値となり、法定耐用年数に応じて年々「減価償却費」としてこの勘定科目「固定資産」から控除され、これが損益計算書の「費用」に変わる・・したがって、この「減価償却費」と「工具費」、「消耗品」に加えてその機械と運営に係わる「人件費」の合計が、この機械による価値向上のゆえんによる売上増し分を超えてしまえば、Bの利益増とはならないはずで・・・さて「人件費」をどのようにカウントすべきか??運用における制御装置は独自のものか・・それともすでに運用実績のあるものか・・それにより「誰が」「何台」受け持てるかに影響するし・・・とはいえレイアウト上の動線に無理はないか・・・手待ちがどの時点で発生しそうか・・・等、いたって初歩的な項目を挙げてみた時点で、すでにこれらは部外者が正確に判断を下せるものではなく、また人的資源のマネージメントという視点からその配置とアサインは人事評価と連動する有機的な意思決定であるはずで、とうてい部外者の出る幕ではありません。
らに、部外者にとって状況をもっと分かりにくくするのは、受注の増し分が最終的に損益として数字で出現するには、いくつかの思考プロセスとフィルターが通ることです。「儲かる」という表現をキャッチコピーに止まらせないためには、そのユーザーが採用する減価償却の方法に完璧に通じていることや、「減価償却費」そのものは見かけの利益を圧縮しつつも、現実のキャッシュアウトはしない、つまり現実の出金にもならず、さらに利益の圧縮による「節税」の効果もあることを、そのユーザーがどのように利用しようとしているかなど、ユーザーの損益計算書に対する基本的姿勢、もちろん儲かりたいが、正当な手段の範囲において利益を圧縮したいのか、それとも逆にユーザーは、同じように正当な範囲において実体とは別に数字としての利益を大きくしたい事情があるのか、といった企業にとって認められている数字の解釈の仕方について、「儲かる」とコメントしてみたい相手ユーザーごとの理解が絶対に必要になります。
まるところ、ユーザーの事情を生産部門だけでなく、財務部門まで見透かし、人事評価までを横目でみつつ、さらにこの導入によって受注がどれだけ増すのかという営業の見通しとそのブレをどの程度許容しているかといった、直近および数年先のユーザーの「パズル」のピースすべてを、ユーザーのCEOに匹敵するレベルで理解しておくことなく「儲かる」というコメントに、ユーザーが傾聴するに値する意味を持たせることは不可能です。| |
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