米の機械メーカーのエンジニア達が着用していることで御馴染みの作業用コート(ショップ・コート)。その特徴的なお尻までかくれる長い着丈についてはもともとそのルーツが英国海軍の甲板作業用のユニフォームであったため(海風でお尻が冷えると疲労感が増すために覆うデザインとした)のようです。 方、日本でおなじみの着丈が短いジャンパー式作業服は、狭い戦車や戦闘機などの機関室内で動きを妨げない用途からの派生といわれています。 現在のマシニストの現場においては、人間工学的にいずれも理にかなっているのでしょうが、コート式は、長い着丈に加えて胸元の襟の折り返しがあって、すっきりしたシルエットになっており、またポケットには収容能力を高めるためのマチがなく、無用にポケットに手を入れないように、さらに最小限のモノしか入らないことで、だらしなさを排除するという軍服からの流れを受け継いだ独特の正装感を漂わせています。 お、普段使いはせずに、来客時にだけ羽織って汚れをかくしきちんとした印象を残すという着こなしもあるようです。 このショップ・コート、統一した呼称はないようですが、”テクニシャン・コート、エンジニア・コート”などでも通用します。 |
【フランス映画にも登場】 ァッション感覚には定評のあるフランスにおいては、マシニストのみならず、ベーカリーや美容師など街角のプロフェッショナルにも馴染みのユニフォームです。 フランスを訪れた日本からのゲストは、このコートに(ファッション的に)非常に感銘を受け、日本で同様のものを入手しようとしたもののかなわず、特注までしている方もいるようです。日常の作業かたがた、着たままで近くを散策できることがその理由とのことで、日本のアパレルブランドもこのコートをモディファイして街着として派生させたりしています。 また、しっかりとフランス映画(アランドロン主演「暗黒街のふたり)にも、フレンチブルー・バージョンの作業用コートが登場します。 |
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【ご入用の方】 本からのお客様で、ときおりこのコートを気に入られる方がいらっしゃいます。しかし、日本の専門店では同様のモデルの入手は容易ではなく、ポケットが多い、装飾的な仕様がある、材質感が違うなど、イメージの妥協を強いられることがあるようです。そのようなご不満をお持ちの方、ご入用の方は、ご希望の色、サイズなどを遠慮なくエクストリームにお問い合わせください。イメージに適うものをお見積いたします。 サンプル例
シニストのお客様のみならず、ファッション関連のマイスターの方からも幅広くお問い合わせをいただいております。つきましては、弊社よりご購入が可能な代表モデルをご紹介いたします。また、価格・納期は都度お問い合わせください。
Jacket Machinist,Shop Coat: Model from USA ネービー
ワになりにくく、かつ激しい洗濯にも耐久性をもつ実用性と、着心地を両立させる65%ポリエステル、35%コットンの混紡のツイル仕上げ。7.5oz生地。普段着への取り入れや、会社名などの刺繍やワッペンの取り付け(お客様自身の対応となります)も許容しつつ、エンジニアとしてのプロフェッショナルらしさや威厳を醸し出す正装としてお役立て下さい。 SIZE :36 ,38,40,42,44 インチ Colour :ネービー、チャコール、ポストマン・ブルー
械工業化の進展に併せて、欧米の企業関連のスナップ写真や広告などにはショップコートが1940年代から頻繁に登場。機械工業の重要メンバーであり、かつエンジニアがいわば威厳あるドクターであることを、そのいでたちで表現するためにはショップコートは重要アイコン ポストマン・ブルーチャコールフランス:蒼いプレタプルテ
スター・ブルー M.Bleu
ほぼフレンチ・ブルー(ブガッティ・ブルー)のみの色展開といってよい、フランス製各ブランドのショップコート。ですが、スタイルのバリエーションが多様で、生地の品質に自信をうかがわせます。 ちらのブランドには、「ブルー」という単語は抽象度が高くて「もっと具体的に」と叱られるかもしれません。左上は「マリーン・ブルー」、となりは「ブルー・ロア(王者のブルー)、左下は「マリーン(ブルーはつけない)」となりは「ロイヤル(王室)」。。。王者と王室を区別すること、ブルーをつけるかつけないか・・・ エスキモーは「雪」という概念を50種類以上の違う単語で表現するという説があったようですが。。。 フランスではことショップコートに関しては、4種類(以上)の「青」があり、区別が要求されるということのようです。 代表モデル
ムービースター若干の馴染みのなさゆえに、着こなしが手ごわくもあるフレンチブルー。 ガレージ風景のあるフランス映画などを拝見するに、ムービースターの選択によればフレンチブルーの着こなしには襟付きシャツの”赤”が映えるようです。当面ムービースターになるご予定のない方も、これを参考になさってはいかがでしょうか。 栄光のルマン?
番外編:ショップコートとナショナリズムケーススタディ:プロフェッショナルたちのクロージングンプルなありのままを着用することはもちろん、会社名や個人名を入れる、ビンテージ古着をベースに選ぶ、いろいろなアレンジを受け入れるおおらかさを持ちつつ、実用着としても、正装としても通用する、それがショップコートです。いくつかの事例をご紹介いたします。 ンプルに会社名を刺繍。作業服でも一般的なアレンジで、個人名を添えることも。ショップ・コートはブランドがたくさんあって、それぞれ裁断も異なりますが、このタイプはかなり細身のタイプです。ユーザーのイギリスの会社では、エンジニアのみならず、顧客対応が中心のマーケティングパーソンにも支給されています。紳士の国では背広だけが正装ではないようです。バージョン違いももちろん、同社の航空用ジェットエンジン黎明期から多くのタイプが存在します。 常であれば、ワッペンの貼り付けはカジュアルなもの。ですが、ショップ・コートであれば、それが許されるというのがユニークさの本質。アメリカの大手自動車メーカーの研究所でもしっかりオーソライズされています。 970年代のビンテージ。会社名、個人名、共に両雄並び立てる。貫禄のついたショップ・コートに脇役不要のダブル・キャスト。
メリカ自動車メーカーの1980年代のもの。左胸にディビジョン、右に刺繍、背面にロゴマーク。ショップ・コートがキャンバスと化しています。 ちらの情報機器メーカーでも、いくつかのバージョンがあります。左は大胆にも背中へワッペン。生地の薄さは軽作業が多いのと、静電気対策が必要な特殊ナイロン製であるため。 ナダ重工業メーカーのビンテージショップコート(カバーオール仕様)。ショップ・コートは、ビンテージ品やデッドストック(新品古着)にもファッション目的のファンがいます。 ンテージ古着は、経年変化による貫禄、ヤレ・よれ具合が特有のオーラををまとうためか、マカロニウエスタン風のちょいと無頼なファッション演出にもぴったり。 手タイヤメーカーの自動車レース関連のもの。しかし”レーサーつなぎ”ではなくコートであることがめずらしい逸品。1950年代のビンテージ。パッチの状態がすばらしく、また素材は、レースというガソリンが不可欠の環境ということから難燃性のコットン100%。さらにブランドは老舗デニムメーカー。ホックにもデニムジーンズの面影が。加えて、袖の取り付けが、ラグラン・スリーブ(袖が首まわりまでつながる、スゥェット・シャツやベースボール・シャツなどのスポーツウェアなどに採用される仕様)なのもレア度高。お値段も相当なようです。 Was ist das?イツ自動車業界のビッグネームカンパニーが並びます。果たしてこれはニュルブルクリンクサーキットあたりのピットで着用された純正コートなのか?またはどなたかの個人的なアレンジなのか?一着のコートが静かに謎をたたえております。
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