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作機械にまつわるエピソードで、シニアクラスのベテランの方からの口伝えであることが多いのですが、なぜかやや得意げに、もしくはニヤリといわくありげに、このようなことを新人時代に聞かされたことはありませんか?

すが、新人なりに直感的に「非常用にわざわざ積んだその機械が先にこわれたらどうすんの?」「積んだはいいが、船の電気部品がこわれたら工作機械は無用だし、おおげさな割りには活躍の場面があるのだろうか・・」など、出だしのインパクトの割りになんとなく、後味がいまひとつだった記憶があります。
ちろん目的をとわず、あればたいへん重宝するという意味での、つまりあくまで万能的な簡易軽作業用として、小型汎用旋盤や両頭グラインダ、溶接機などを最低限、DIY用途で船内工作室に装備しておく、ということであるならばふつうにイメージはできますし、そのようなルールらしきものもあることはそれなりに広く知られており、それならばあえてもったいぶってこのように話題にする必要もないのでは?とやや甘さを感じたりもしますので、その語り口から察するに、語り手の意図はこのような意味ではないはずです。
た、我々つまり工作機械業界の関係者のとらえる「工作機械による加工が必要な重要機構部品」というのはそういったレベルのものではなく、そのような簡易的に追加工したぐらいのもの、形にしてみました程度の、つまりはDIY感覚で製作可能なものに「機械部品」として機能できるものがそうざらにあるとも思えず、またそれらの簡易的な装備だけでは、冒頭のような緊迫した場面で鍵となってしまうような重要部品の運命に影響を与えられるとも思えず・・まったくそういう場面がないわけではないでしょうが、そういう例外的なケースまで想定すれば、工作機械にかぎらずどんなものにでもそういった活躍のチャンスはあるわけで、やはりあえて話題にする必要もなさそうですし。
はり、話し手のかもしだす香りに素直に従うとして、相当な危機的場面に遭遇したとしても、これがあるから平気さ、などどいいつつ機械をなでて愛出でる、これぞプロの備えといったような、頼もしい部品加工能力を船内に持たせようとすれば、最低でも1台あたり数トンにおよぶ機械を、いくつか大きさ毎に準備し、しかもある程度の前後工程がかならず必要になるはずです。特に船舶用の部品ともなれば、想定加工サイズの考慮は通常以上に求められるはずです。
うなると、合計すればけっこうな台数が必要になり、また、状況を考えると「あとは外注に送って・・・」などという通常の分業が効かないわけであり、ところで熱処理は?研削は?・・・・いままで経験のない工程までいろいろ考えなければならなくなって、ちょっとした、いや徹底的に貫徹した単品精密部品工場を内部に再現するぐらいのスケールが必要となってくるわけで、そうなると本当にそんな船がそのへんにあるのだろうか、それならば、いたって普通に:
たどんなタイプの船がそれを搭載しているのか?という当然の問いには:
要は語り継がれる、つまり質のよい伝説がそなえるべき要件をすべて持っているということでしょうか。。
らに言えば、上下左右、不規則に揺れることが前提の船内で、強固な地盤を理想とする精度のよい加工ができるのだろうか?という当然の疑問もさることながら、加工の際に生じるたいへん大きい作用に対抗するだけの反作用(踏ん張り)が効いてこそ可能な加工もあり、陸上でのイメージどおりにはいかないはずで、つまり条件のきびしい特殊な状況で「機械部品」を作るには、普段よりももっと多岐に渡る機械操作と部品加工共に相当の専門的技量が必要なはずで、そういった人員を、ふつうの船舶があたりまえに乗船させておけるのだろうか等々、かなり無理のあるエピソードのように思えるのですが・・・実際の見学者がいるとも聞きませんし、ただの取り違え、行き違いのようなものなのでしょうか。
こで、船舶の理解はまったくないのですが、工作機械関連のトピックであることに間違いないという状況で、ぶつぶつといぶかったり思考を繰り広げるだけでは業界関係者として半端なような気がしますので、なんらかのアウトプットが必要というビジネス的な義務に従い、いったいこのような「内製」がはたして機能するかを、「フィージビリティ・スタディ」風にメモってみます。
海中における、予期しえぬ船舶機器類の故障によって、航海継続が不可能となることを回避するため、工作機械を船内に装備し、かような事態が発生した場合においても、原因となる不具合機械部品の代替品を速やかに製作着手し、完成させ、当該部位の交換を行い、早期に定常状態に復旧させることの実現可能性を検討する。
り前にユーザーが入手可能であるとは考えられず、通常はユーザーはそれを、部品として購入することが前提となっている。これは図面というものが、当該部品、もしくはユニットの正規の製作者が創造し、所有し、管理するもの、つまり情報としての資産であるため、まず、いかなる検討の前に、対象となる部品すべての当該図面を、正しい方法で入手可能であることの確証を得なければならない。
もちろん、海上という外部パートナーにまったく頼れない状況であるため、 完成までを一貫して内製するということになる。陸上と異なり、半製品にまで仕上げたら後は外注というわけにはいかないのであり、仕掛状態というのはまったくの無価値となる。陸上生活がほとんどで、買い手市場、供給過剰にすっかり慣れ親しみ、溢れんばかりの分業パートナーに恵まれた、体系化された環境においては忘れられがちだが、ここは決して都合よく忘れられてはならない重大なポイントである。
らいか?もちろん通路その他の空間が必要となり、そうなると、船舶空間全体に占める全ての工作機械および関連のフロアスペースのシェアは・・・。思う存分の割り当ておよび配置が期待可能であるという好条件の裏返しとなるが、もはやどちらが本来の機能であったかが一見しただけではわからなくなるという状態にはなるだろう。ただし、これは心象的なものであるため、重要な利害関係者のそれを損なわなければ問題とはならない。
加えて、必要となるすべての機械操作、製作手順・加工技術、工程を通じたマネージメントを担当する人員それぞれを、同一船舶に集結させることは容易ではなく、ましてやそれらを個人で一手に引き受けられるマルチスキル、
精鋭コマンドータイプの人物を一般労働市場で確保することは不可能。もしくは、相応の報酬が必要。さらに、そういった専門プロフェッショナルスタッフが、平常時に通常の船員としての実務をこなせるかといえば、専門家であるがゆえ仕方がないところだが、働きぶりを発揮できるのはやはり、そういったスキルが必要となるタイミング、つまりは「非常時」に限られるだろう。したがって、時間あたりの人件費に対する何らかの成果物という、通常の人的資源評価の観点、つまり労働生産性はきわめて低くなる。もちろん、これらのいわゆるプロジェクト人員、正しくはスペシャル・タスクフォース的人物の評価は、このような一般的な効率指標ではなく、他の評価システム、具体的な成果、つまり効果指標によるべきものであり、場合によっては人事評価システム全体を見直す必要がある。
ろえして、予想しうる材料をすべて網羅し、それらに相当なスペースを与え、納入しまたは据付し、リクルート活動でオペレーション人員を確保し見合う給与を与える場合の必要予算・経費と、交換可能な船舶部品を全種類、ビジネスが開始できるほどの莫大な量を(換言すれば
の船、現在は任務を外れたため、公開とあいなり、ようやくこの「伝 説」を解く重要な手がかりとなったわけですが、扉に誇らしげに描かれた「E」(Engineeringの略でしょうか)の文字と周辺の工具類のアイコンが自分のアイデンティティをほのめかすように、1960年代から30年間ほどの、いわゆる冷戦時代に自国の潜水艦に近寄って、潜水艦の修理、部品加工は言うにおよばず、ポラリス大陸間弾道ミサイルを搭載する潜水艦の原子力プラントのメンテナンスサービスまでを完璧に行う、「出張ワークショップ船(工作船)」だったとのこと。つまり工作機械の搭載理由は、窮地におちいった自身の自助救済目的ではなく、補修や部品加工、補給が必要な他の船舶、つまり原子力潜水艦などの政府関連特殊船舶への出張技術サービス提供が主任務だったため、ということになります。
確かに、顧客は常時洋上に潜んでいることが前提ですから、予備部品でな んとかしのいでもらいつつ、陸上に無事帰還の際は弊社で本格修理を、などという
通常のビジネス感覚では通用しない、一般生活では想像のおよばない相当な特殊事情と目的を抱えているため、条件うんぬんは一切無しにして、とにかく一連の工作機械を積んで潜伏現場に出向いての出張サービスが必須な場面が想定されている、ということでしょうか。やはりそれなりの「部品加工」を行うにはこれぐらいの本格装備はあたりまえに必要になってしまうのであり、もちろんそうなると、一般の船舶ではここまでは不可能、というかありえないと考えるのが自然です。
するに、この伝説は「専用出張サービス工作船」と、「(そうではない)一般船舶の万能補修用軽装備」との区別が混同されたか、それを知りつつも無視されてしまったか、もしくは組み合わせて面白く工夫されたか、理由はいずれにせよ、本質的には「(多少なりとも)誇張されすぎ」で
あることは間違いなさそうです。。