2018年12月11日 「デザイン」という語感からくる会話での登場頻度としては、なんといっても「マシンカバー」でしょうか。マシンカラー、形状など外観上のたたずまいは、まず第一に飛び込んでくる要素です。 次いで、「ベッドの素材(鋳物、複合コンクリート)」、「構造(L字、T字、門字)」「直行軸の案内構造(きさげ、リニアガイド、油静圧)」、「回転軸の軸受け構造(ベアリング、静圧)」。このあたりから、だんだんと黒いタートルネックにブラックジーンズで、ねむい目をこすってエスプレッソをすする人たちの世界であるところの「デザイン」というより、(まったくおなじことなのですが)日本語の「設計」、バリっとした作業服の上着と折り目正しい背広のスラックスを組み合わせ、関数電卓をブラインドタッチするメタルカラーエキスパートの世界の香りが漂いはじめます。 そうなると自動的に、プロモーション側、ホワイトカラーゼネラリストの態度にバリエーションが生じてきます。突然饒舌になる、これはもちろん喜ばしい例ですが、反対にとたんに人任せとなって寡黙になる、ときには「それは顧客目線ではない!だからむかし型の機械屋はけしからん」などとセクショナリズムのスイッチが入ったかのように内部者に檄を飛ばす方などその態度にアレルギー反応が混入し始めてくるようです。 加えてマーケティング良識・学識派からのフォロー、“顧客は機械が知りたいのではなく、ワークが出来るかを知りたいのだ(某名門MBA 某カリスマコンサルの発言コピペ※イメージ)”。この顧客目線的な指摘はホワイトカラーを大きく勇気づけ、現在ではプロモーション側の大きな主流になっています。ですが、もしそこで視点が完全に完了しているのであれば、これには多少の補足が必要です。顧客は「(ワークが)加工出来ることを知りたいだけではなく、いかに安心して(再現良く)それができるか」が知りたいのだと。。見事な見本を完成させて、その出来栄えを披露することそのものは、じつはできないことではありません。そして間違いなく、競合も同等の見本を携えているはずです。 つまり(工作機械を検討の)顧客視点の彼方の本質は、「どれだけそれが容易なのか?さらには拡張が可能か?」に行きつくのであり、したがって、そこを顧客が推し量るには、手元のワーク完成品を見ただけでは通常は足らないはずで、「それを成り立たせるマシンというものはどんなものなのか?」にいずれは(本気であればあるほど)戻るのであり、やはりこの要素こそが工作機械のプロモーション、説得のコアとなり、ゆえに「デザイン」がいかに工作機械にとって重要か?となってくるのです。 せめて冒頭の用語くらいは心得ますか…やれやれとようやく重い腰を上げた方…、「デザイン」でぎりぎり紙一重の勝負にもちこむのでさえ、それでもまだ十分ではありません。
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