2019年4月3日

 第五回:
(クプカ作/1927年-1929年)/ The Machine Drill ティッセン・ボルネミッサ美術館

色眼鏡



「自然を円筒形と球形と円錐形によって扱いなさい。自然は平面よりも深さにおいて存在します。そのため、赤と黄で示される光の震動の中に空気を感じさせる青系統を入れる必要性があるのです。」
ポール・セザンヌ


チェコの画家 クプカ。それまでの抽象絵画から、具体的な物体をとらえた幾何学的表現への移行期の作品。まずはそちらの表現の大御所のみならず、近代絵画の父とまで崇められる、セザンヌの教えに習ってかどうかはあれとして、円筒・球・円錐がきっちり。そして、そのメインモチーフとなって、題名にまで出世したのは、ドリル!。。。

爪の油を取って、うやうやしく美術館をめぐる、やや勝手違いの気おくれも否定できない機械屋にとっては、勝手知ったる旧友を、勝手の分からぬヒノキ舞台で見かけたような、面ばゆいやら誇らしいやら…。。なおも、それがボール盤でなく、これまたクシ歯旋盤の横型アタッチメント!というひねったセレクトだからなおさら、人知れない愉しみを味わったのは自分ひとり!と、美術鑑賞とはまったくもって次元がズレまくったところで「ニヤリ」。。。

そう、これ、すべての機械屋が思い当たるはず、知らないとは言わせない、「あーあのひとが得意なやつね」と自分をカウントしなくとも、まぁ何でもいい。被害者、加害者どうであれ日常茶飯事、自己回復、毛づくろいだけを目的とした、その場を他人に持っていかれないためだったり、自分に寄せるためだったり、それも対戦相手なき、勝手な脳内主導権合戦のためだけの、内容まったく意味不明、そしてここが肝心「誰も、くやしくも、痛くも痒くもなんともない」効果なき、ご本人だけのなぞの優越感と勝手な勝利宣言…。。でも、これがなかなかどうして万能。いつだってどこだって、疲れた背筋を伸ばしてくれるのだ…


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