2018年6月11日

第四回:
(ドイツ工作機械メーカーの機械加工現場にて/2018年)/制御盤に貼られたマンガ

無言劇



無垢なあどけない表情で、ひとり排泄にふける「ディーゼル」という名の犬。リーシュを解放した飼い主は「自動車業界」関係者。口笛か鼻歌をかなでながらあちらを向いたまま。そしてその様子を差ししめす誰かの指の大きさと強さは、非難の感情だけはしっかり込められるも、顔も名前もその内容もわからない。

余裕に満ちた飼い主の涼し気な背中は、はたして壁際に寝返りうった強がりか、それとも訳を知った者の、ついつい油断からにじみ出てしまった先行きへのかくせない楽観的自信か…。。。もしや意味勘ぐり無用、愛犬のプライバシー尊重、ただのジェントルな日和見的な小休止だろうか…

その指は、いったい誰なのか?何を、だれを、なぜ、どんなかどで責めるのか???場所?物質??リーシュ???それら一切合切???この重要キャラには、非難という意思以外、まったく情報が与えられていない。。。

なんの含みも、配慮も計算もなく、恍惚感に素直に浸り、それを無遠慮に表情と身体表現にあけすけに、無邪気にあらわす愛犬の挙動。。であるがゆえ余計に気になってしまう、顔のない・セリフのない大人たちの、“態度”と“ジェスチャー”が、いわくありげなような。。。もったいぶっただけのような・・・

ユーモラスな浮遊感ただよう、ゆるく、“三すくみ”でもない三者三様なりの不思議なバランス。。

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