ウンティング・パッド

その丸みをおびた形と、ずっしりとした持ち味と、安定的たたずまいから、すこしこなれた玄人ふうに 「まんじゅう」 と呼ばれることも多い、工作機械の底面をささえる鉄製のベース。その多くは、三点支持＝3セットで機械一台を支える。第一次機能としては、安定的な支持だが、付加価値として大なり小なり防振・除振効果が要求される。

一旦それがセットされ、万事完了となれば、その後はまったく日の目をみることはないといってよい。それでもこれに色をつけてみようとする者がいる。質実剛健、機能一転張りもわるくはない制約だが、それに何かをブレンドすること。あてがわれた制服にこっそりアレンジをするあれだろうか。

それも、まばゆいライトが映えるピカピカの質感で仕上げる。そこが、まず光の差し込まない場所であれ。。だからこそ。。。

 
革靴の中敷を小さめの紅い革片にして貼り付ける、靴底の土踏まずだけを蒼くペイントして、磨き上げる。。そんな伊達男のスタイルがあるという。他人には、まず知られることのない楽しみにこそ、ナルシスティックな歓びを感じ、ふとした、あくまでふとしたアクシデントによって、チラリと見られてしまった目撃者の顔についうかんだ「？！」に、「これしたり！」…。。わきおこるニヤリを必死で抑えつつ、何食わぬ顔を気取るダンディズム…。

いつでも、どこでも、どこまでも、機能一転張りにじっと耐え、むしろそれをほめそやすのが、ものの分かった大人の態度・・・をずっと決め込んでいられるほど、マニュファクチャラーもカスタマーも、じつはそれほど強くない。